現在、日本の高齢者の約30%が低栄養の状態になっていることをご存知でしょうか?
年齢を重ねると、下記のような理由で食事による栄養補給が難しくなります。
- 食が細くなる
- 噛む力が低下し、食べにくい食材が増える
- 消化や吸収の能力が低くなる
そのような中で、野菜ジュースで手軽に栄養を摂取しようとしている方も多いのではないでしょうか?
しかし、野菜ジュースを生活に取り入れるにあたり「野菜ジュースを飲めば健康になれるのだろうか?」「野菜ジュースはダイエットや美容にもいいって聞くけど、ホント?」「野菜ジュースの正しい飲み方を知りたい」このような疑問をお持ちではありませんか?
そこで、本記事では上記のような疑問を解決します。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
野菜ジュースは本当に野菜不足を補えるの?
結論、野菜ジュースでは身体に必要な全ての栄養を補うことはできません。なぜならば、製造過程で減ってしまう栄養素があるため、全ての栄養素がそのまま入っているわけではないからです。
例えばビタミンCや葉酸、ビオチンなどは水に溶けやすい水溶性ビタミンであり、熱にも弱いため、製造過程での栄養素の損失が大きくなってしまいます。また、野菜の搾りカスに含まれる不溶性食物繊維は取り除かれてしまうため、食物繊維も減ってしまいます。
成人が1日に摂取すべき野菜の目標量
厚生労働省の「健康日本21」によると、成人が1日あたりに摂取すべき野菜の目標量は「350g以上」と決められています。現状、厚生労働省の「令和元年 年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、野菜の摂取量の平均は男性が288.3g、女性が273.6g、全体平均が280.5gとなっており目標値の350gには達していません。
この350gの野菜の栄養素を野菜ジュースですべて補うことは不可能です。野菜ジュースにも栄養はありますが、まずは食事で野菜の栄養を摂るという意識を持つことが大切です。
野菜ジュースは健康効果があるの?
野菜不足をすべて補うことはできませんが、野菜ジュースには間違いなく健康効果があるといえます。その理由は、野菜自体で摂るよりも野菜ジュースで摂る方が吸収されやすい栄養素があるからです。
例えば、リコピンやβ-カロテンは野菜自体から摂取するよりも身体への吸収率がグンと上がります。リコピンは約3.8倍、β-カロテンは約1.5倍にもなるのです。また、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどは製造過程でも変化しにくいため、野菜ジュースから手軽に摂取できます。
野菜ジュースの主な栄養素は?
野菜ジュースの栄養素は主にどのようなものがあるのでしょうか?いくつかピックアップして下記にまとめました。
① ビタミンC
製造過程で失われるため、合成ビタミンCが添加されていることが多々ありますが、過剰摂取しなければ問題はありません。美白効果、免疫力の向上、生活習慣病の予防などに役立ちます。
② リコピン
赤色の天然色素で、優れた抗酸化作用があることで有名です。アンチエイジング、美白効果、血流改善、生活習慣病予防の効果アリ。
③ カリウム
ミネラルの一種であり、ナトリウムとバランスを保ちながら細胞を正常に機能させます。高血圧予防、筋肉の働きのサポート、むくみ改善、便秘解消に力を発揮します。
④ βカロテン
カロテノイドという色素の一種です。必要な量だけを体内でビタミンAに変換することができます。主に目の健康の維持、免疫力向上、肌質や髪質アップに効果があります。
⑤ ビタミンE
強い抗酸化作用を持つビタミンです。老化防止のビタミンとも呼ばれ、美肌効果、動脈硬化予防、悪玉コレステロールの減少の働きをします。
他にも食物繊維(水溶性)、マグネシウム、鉄分、葉酸、ビタミンK、ナトリウム、アントシアニンなど、野菜ジュースによってさまざまな栄養素が含まれています。
野菜ジュースはダイエットや美容効果はあるの?
野菜ジュースには、健康効果に加え美容やダイエット効果もあることをご存知でしょうか?まずは美容効果。野菜ジュースに含まれる下記の栄養素が美容に良いとされています。
① ビタミンA
皮膚や粘膜の健康を維持し、キメ細かい健康的な肌を保ちます。
② ビタミンE
抗酸化作用や血行促進効果があるため、肌のハリやツヤのもとになります。
③ 食物繊維
排便を促し、便通が良くなる栄養素。腸内環境が整うことで、肌や髪のツヤが出ます。
④ リコピン
高い抗酸化作用を持ち、身体のサビを防止。老化防止効果抜群の栄養素です。
このように、野菜ジュースには美容効果が期待できる成分が多く含まれているのです。
次にダイエット効果についてですが、「食前」に野菜ジュースを飲むことでダイエット効果を得られることが研究で実証されています。これはベジファーストと同じ原理で、野菜を先に身体に取り入れることで血糖値の急激な上昇を防ぐ方法です。
初めに野菜ジュースを飲んでおくことで糖質の吸収がおだやかになるため、太りにくくなるのです。また、食前に飲むことでお腹が満たされ、摂取する総カロリーの減少も期待できます。
野菜ジュースは飲み過ぎると肥満になるってホント?
健康や美容、ダイエットにも効果的である野菜ジュースですが、飲み過ぎには要注意です。野菜ジュースには糖質が多く含まれる場合があるので、飲みすぎると肥満になる可能性があります。
野菜ジュースに含まれる糖質は200mlあたり約10〜15g で、ガムシロップ約2個分、フルーツが入っているものだと、200mlあたり糖質18g~20gほど入っていることもあります。
野菜ジュースを毎日飲むことは問題ありませんが、糖質の過剰摂取にならないように気をつけることが大切です。低糖質の野菜ジュースもあるので、ダイエット中の人は糖質の量をチェックするように心掛けましょう。
野菜ジュースの正しい飲み方と飲むタイミングは?
野菜ジュースを飲むタイミングは基本的にいつでもOKですが、朝のほうが栄養素の吸収率が高いため朝に飲むのがおすすめです。起床後の胃が空っぽの状態で飲むと、吸収のスピードも早くなります。
そして重要なのが「目的に合った野菜ジュースを選ぶこと」です。例えば、美肌効果を期待しているならリコピン多めのものにしたり、貧血気味ならば鉄分が多いものを選んでみたりなど、工夫して選ぶと良いですね。野菜ジュースのパッケージに必ず栄養成分と原材料が表示されているので、しっかりチェックしながら選んでください。
また、1日に飲む量は200ml入りのものを1、2本程度にしましょう。
野菜ジュースの効果を上げる方法
野菜ジュースはそのまま飲むだけでも健康効果がありますが、その効果をより上げる方法もあります。
例えば脂溶性ビタミンであるリコピンやβ-カロテンが含まれる野菜ジュース。リコピンとβ-カロテンはオリーブオイルや乳製品などと摂取するとより吸収率がアップするので、オリーブオイルを垂らしたスープにして食べると効果が倍増します。
この他にも野菜ジュースを使ったレシピはネット上にたくさんあるので、さまざまな方法で生活に取り入れてみてくださいね。
まとめ
野菜ジュースには健康効果があり、糖分が多い場合があるものの、美容やダイエットにも効果があることがわかりました。しかし、野菜ジュースを飲むだけでは野菜不足のすべてを補うことはできません。健康的な食生活は「野菜を食べて栄養を摂取すること」が基本です。
普段の生活でしっかりと野菜を摂りながら、野菜ジュースはあくまで栄養摂取の補助として生活の中に取り入れましょう。
また、選ぶ際は栄養成分と原材料をチェックし、自分に合った野菜ジュースを選べると良いですね。
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