年々入居が増えて注目されている「グループホーム」の特徴とその費用について

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特養、老健、有料老人ホーム、サ高住など高齢者向けの居住施設にはいろいろなタイプのものがあります。その中でも今回は認知症へのケアが注目され日本全国でも年々入居が増えて注目されているグループホームについて詳しく見ていきたいと思います。

グループホームは民間老人ホームの一つです

高齢者向けの居住施設、すなわち「老人ホーム」には公共機関が運営するものと民間の企業や団体が運営するものがあります。

地方自治体や社会福祉法人などの公共機関が運営しているのが特養(特別養護老人ホーム)、老健(介護老人保健施設)、介護医療院などです。これらは公的施設に該当し、民間老人ホームではありません。

民間老人ホームとはその名のとおり民間企業が運営する介護施設です。

現在、日本で利用されている民間老人ホームは大きく4つのタイプに分かれます。

  1. 介護付き有料老人ホーム
  2. 住居型老人ホーム
  3. サービス付き高齢者住宅
  4. グループホーム

グループホームのことは後で詳しく紹介することにしてまずは①~③の民間老人ホームについて簡単に見ていきたいと思います。

介護付き有料老人ホーム

施設利用に際して介護サービスがついている施設です。

企業が運営します。介護付き有料老人ホームは介護サービスがついている分、月額の利用料は比較的割高になります。施設によって金額は異なりますが、15~30万円が相場です。

 

住居型有料老人ホーム

施設利用にあたり介護サービスがついていないタイプの老人ホームで、企業が運営します。

介護サービスを受けたい場合、入居者は訪問介護や通所介護など、施設外のサービスを利用します。

介護サービスが付いていない分、介護付き有料老人ホームに比べて住居型有料老人ホームの月額利用料は割安になります。10~15万円が相場です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

高齢者を居住対象者とする施設利用において安否確認や生活相談サービスなどの簡単なサービスがついている民間運営の住宅施設です。

有料老人ホームと違う点として、サ高住は居室や共用施設に対する利用権がなく、契約はあくまで賃貸借契約です。有料老人ホームを分譲マンションとするならサ高住は賃貸マンションのようなものとして考えることができます。

サ高住には安否確認や生活相談などのサービスがありますが、内容は基本的にそれほど労力や手間のかからないものとなっています。より手厚い介護サービスや食事サービスなどの生活支援サービスを受けたい場合は別途契約する必要があります。

これらのサービスは基本的に施設には付いておらず、外部のサービスを受ける形となります。

サ高住に入居するとお金はどれくらいかかるの?

通常利用だと月額10~20万円程度ですが、外部サービスを多く使えば使うほど当然高額になっていきます。

グループホームとは、どんな老人ホームなのか?

ここであらためてグループホームの特徴について詳しくみていきたいと思います。

まずグループホームの入居者は認知症の高齢者であることが大切な条件です。具体的には認知症で要支援2、もしくは要介護1以上の65歳以上の高齢者です。

グループホームでは1ユニット(5~9人)の認知症を抱えた居住者たちが、起居をともにし、料理・掃除などの家事を役割分担しながら行います。居住者が寝泊りする部屋は個室ですが、日中は仲間や介護スタッフとともに共有スペースで過ごすのが基本スタイルです。

グループホームは基本的に民間企業が運営していますが、社会福祉法人や医療法人、NPO法人などが運営しているところもあります。

グループホームの入居条件は要支援2以上の軽度・中等度の認知症高齢者であることですが、比較的元気な人が多く、職員たちが脳トレゲームやレクリエーションを積極的に企画・実施して、居住者が楽しく穏やかに過ごせるよう工夫しています。

居住にかかる費用に関して示すと、多くのグループホームでは保証金や一時金を払う必要があります。保証金は入居時の敷金のようなもので、退去時の清掃・修繕などの経費として使われ、残金は返却されます。一時金は施設を利用する権利を得るために必要になるお金です。

これらの保証金や一時金の価格は施設によってまちまちで、保証金や一時金を必要としない施設もあります。

グループホームの月額利用料は15万円前後が相場で、値ごろ感としては住居型有料老人ホームと同じくらいになります。

グループホームのケアのあり方が今、評価・注目されています

先述したようにグループホームは認知症の高齢者を対象にした居住施設です。日本ではグループホームは1990年代終盤に開設され始め、2000年を過ぎてから急速に広がっていきました。

今、グループホームの入居者はおよそ数十万人いると言われており、毎年増加を続けています。

グループホームは常日頃、入居者である認知症高齢者と常に向き合っています。介護スタッフは認知症高齢者が支え合いながら、より楽しく充実した日々を送ってもらえるように努力しています。入居者目線での介護が、グループホームの特徴の一つとして知られています。

こうした方針のもと運営しているグループホームですが、認知症高齢者に対して優れたケアのノウハウを構築しているところが多く、そのケアのあり方は他の公的および民間の高齢者用施設でも大いに取り入れていくべきものとして今、注目されています。

今、グループホームでのケアは介護保険の対象となっています。夜間・深夜の介護や看取りに対応するための人件費や介護費用などについて一定額を国が負担しています。また入居者に対する口腔ケアや栄養指導などを積極的に行っているグループホームに対しても国は介護報酬の受け取りを認めています。

認知症高齢者に対してより実質的なケアを提供する施設としてグループホームの活動を国も評価しているのです。

グループホームでは入居者たちがどんな生活を送るのか?

グループホームでは認知症をもつ数人(5~9人)の高齢入居者たちが共同生活を送ります(4人未満だと国がグループホームとして認めてくれません)

入居者たちは施設スタッフのサポートを受けながら、自分たちで掃除、料理、買い物、散歩、地域事業者からの請け負い作業などを行います。こうした作業はもっぱら共同スペースで行い、疲れたり眠くなったりすると自分の個室に帰って独りで過ごします。

このようにグループホームでは認知症をもつ高齢の入居者たちが人との関わり合いや共同作業が適度にある環境の中で暮らしているのです。

実際にグループホームでの生活を続けることで要介護度が軽減したり、認知症の症状の進行が緩やかになったりする入居者の事例が数多く報告されています。

グループホームのケアは在宅介護現場にも浸透してきている

グループホームのケアの基本は認知症を抱える高齢者に対して、その人ができることは手出しをせず、見守りに徹し、その人ができないことがあればそこを積極的にサポートするというものです。

グループホームには、講演会やセミナーを行って、認知症をもつ高齢者へのケアのノウハウを地域住民に伝授しようとするところが増えてきています。また、グループホームでは地域住民に対しての相談支援も積極的に実施しています。

こうした地域住民に対する啓発活動によってグループホームのケアのあり方は在宅介護の現場にも広がっているのです。

まとめ

今回は現在、多くの高齢者が利用している民間老人ホームにおいてケアのあり方が注目されているグループホームについて見てきました。

厚生労働省の調査では2016年時点で、有料老人ホームは約48万人、サ高住は約16万人、グループホームは約20万人の利用者がいることを報告しています。

今後、これらの民間老人ホームの利用者数はさらに増えていくことは間違いありません。

そのような社会環境にある私たちですが、グループホームが率先して行っている認知症ケアのような「高齢者への適切な対応」が国民全体により広がっていくことが望まれます。

この実現によって、国民一人一人がより安らかで充実した生涯を全うできる社会へと成熟をとげることができるはずです。

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