特別養護老人ホームには大きく分けて「従来型」「ユニット型」の2種類ある

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特別養護老人ホームいう制度の中にも大きく分けて2種類の施設があります。入居者の生活環境に関わる大きな違いですので、十分理解したうえでどちらの特別養護老人ホームにするのかを決めましょう。

 特別養護老人ホームの種類

特別養護老人ホームの中にも複数種類があります。細かく分けていくと大変複雑になりますので、ここでは生活環境が大きく異なる種別だけを説明します。

 従来型  (多床室)

古くからある施設種別で、基本的には居室は4人部屋となっています。利用者の個人スペースは、4人部屋に設置されているベッド上と、横にあるロッカー程度と考えればよいでしょう。

食堂などの共有スペースはフロアごとに1つという形になっており、大規模施設であれば50人が一同に会して食事をするような形になっています。

入浴についても同様で、大浴場が設置されており、この中に特殊浴槽や機械浴と言われる車いすやストレッチャーに寝たままで入浴できる装置が置かれています。食事や入浴、排せつなどの介護サービスは集団で実施される施設ですので、比較的利用者のプライバシーが保たれにくいというデメリットもあります。

一方、1人の職員が同時に対応できる環境ですので、利用者の不測の行動が事故(転倒や誤食など)につながることが比較的少ないというメリットがあります。

さらに利用料金は、居室にかかる居住費が非常に少なく、個人負担額は他の施設と比較して安いという大きなメリットがあります。

ユニット型 (完全個室)

この10年ほどで増えてきた新しい施設種別です。現在新たに開設されている施設はほぼ100%このユニット型です。

ユニット型の特徴は

  1. 居室は全室個室。居室面積も一般的な6畳間以上と規定
  2. ユニットと呼ばれる生活空間は、10人の利用者ごとに1か所共同生活室(リビング)と利用者の居室で構成される
  3. ユニットごとに独立した建物構造になっている
  4. 可能な限りユニットごとに職員を固定して配置している

という形です。

ユニット型の施設の一部では、浴室も1人用のものも設置されていて、食事や入浴、排せつなどあらゆる介護サービスの場面で利用者のプライバシーに配慮したサービス提供が行われています。

生活の場所として考えた場合、従来型の施設よりもはるかに快適な生活が送れる環境になっています。

一方、1人の職員は同時に複数の利用者に対し気を配ることができない環境になっているため利用者の不測の行動が事故(転倒や誤食など)につながる事が多いというデメリットがあります。

利用料金は、居室にかかる料金が従来型と比較すると高額になります。一般的には従来型施設と比較した場合、個人負担額は50,000~70,000円程増えます。

ユニット型が絶対によいか

ここまでの内容だと、ご家族としては少々経済的に厳しくても何とかしてユニット型を選ぼうという選択をすると思います。

実際に施設見学に行っても、ユニット型は新しく従来型は古い建物であることがほとんどですので、雰囲気としてもユニット型を選びたくなるでしょう。もちろん経済的に余裕がある方であれば、ユニット型の選択でも良いと思います。

しかし入居されるご本人の状態像によってはユニット型が絶対に良い選択とならない可能性もあります。

ユニット型施設で良くある事故として、車いすでの生活となった認知症がある方が車いすから立ち上がろうとして転倒してしまうことや、夜間自室のベッドからトイレに行こうとして転倒してしまうというものがあります。

これらの事故は、従来型の施設ではあまり起きません。

プライバシーの確保ができにくい反面、職員の目が届きやすいからです。

これらの点と経済的負担のことを考えながら、従来型かユニット型の選択をされることをお勧めします。

まとめ

比較的新しいサービスであるユニット型特別養護老人ホームは、意識と意思がはっきりしている方で、生活を楽しみたいと考えている場合には非常に良い選択となります。一方、従来型にも安全に過ごせて安価であるという見逃せないメリットがあります。

ご本人の状態とご家族の経済的状況を考えながら選択することが重要です。特に特別養護老人ホームは、一度利用開始すると比較的長く利用を継続することがほとんどですので、入居中ご本人がどう過ごされることを望むのかをよく考えてから施設を選ぶようにしましょう。

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