自宅復帰を目指したい人には最適!介護老人保健施設の特徴と費用について
老後を快適に過ごすための手段として話題になっているのが、介護老人保健施設。でも、具体的にどういったサービスが行われる場所なのがご存知でしょうか。
今回は、サービスの特徴や、必要となる費用について幅広くご紹介していきます。
介護老人保健施設とは?
介護老人保健施設は、通称「老健」とも呼ばれている公的な老人ホームです。
最大の特徴は、ゆくゆくは自宅への復帰を目指すという点にあります。家庭環境や身体状況に合わせて1人ずつ個別のプログラムを考案してくれるだけではなく、自宅復帰後にどんなサポートを受けたらいいかということや、自宅の改修、用意するべき福祉用具などについても幅広く相談に乗ってくれるのがメリットです。
また、居室の他に、診察室、機能訓練室、リビング、食堂、浴室、レクリエーションルーム、洗面所、トイレ、サービス・ステーション、調理室、洗濯室又は洗濯場、汚物処理室を設けることを義務付けられています。
施設だけではなく、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職も常駐しているため、施設内のリハビリ室を使いながら自宅復帰後の機能訓練についてのアドバイスも受けられます。
常勤の医師、24時間常駐する看護師といった医療面での人員も豊富で、医療的処置や管理にも不安を抱かず入居できるというのも強みの1つです。ただし、自宅復帰を目指すという性格上、入居期間は原則として3~6ヶ月の期間限定となっているところが大半です。
リハビリが上手く進まない、家族の受け入れ態勢が整わないなどの理由で延期になるケースもありますが、基本的には入居期間を決めた上で手続きをするため、終の棲家としての利用には向きません。
長く入居するための場所ではないのでレクリエーションやイベントは少な目です。
医療、介護、看護の体制は万全に整っていますが、洗濯や買い物代行といった生活支援についてはあまり充実しておらず、家族のサポートや外部業者への依頼に頼っている面もあります。
また、大部屋の割合が多く、個室や2人部屋の場合は追加料金が少し高めに設定されているのも注意しておきたいポイントの1つです。
長く同じ場所で楽しく過ごしたいという人は、民間の有料老人ホームを検討してみるのもいいかもしれませんね。
介護老人保健施設にはどんなスタッフがいるの?
介護老人保健施設は、自宅復帰を目指すという性格上様々なスタッフが配置され、サポートに当たっています。具体的にどんなスタッフがいるのか、見ていきましょう。
医師
入居者の医学的な管理を行います。また、介護老人保健施設は医療法人が運営元であるケースも多く、全体の責任者を兼ねているケースも多く存在します。常勤で入居者100人に対して1人以上の配置が義務付けられています。
看護師及び介護職員
看護師は医療行為や医療処理を、介護職員は身体介護や生活援助などを幅広く担当します。看護・介護職員合わせて入居者3人に対して1人以上の配置が義務付けられています。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
個別でのリハビリテーション計画を立て、実行します。入居者100人に対して1人以上の配置が義務付けられています。
介護支援専門員
介護や看護、機能訓練、栄養管理、投薬管理など総合的な施設サービス計画を作成します。必ず1人以上の配置が義務付けられています。
栄養士
献立の作成や栄養管理、食事量チェックを行います。入居者100人に対して1人以上の配置が義務付けられています。
支援相談員
日常生活を送る上での相談や、自宅復帰後にも利用できるサポート、それに伴う手続きの管理などを幅広く行います。必ず1人以上の配置が義務付けられています。
薬剤師
投薬管理や調剤を行います。施設規模に応じて配置されています。
介護老人保健施設にかかる費用は?
介護老人保健施設の場合、民間の有料老人ホームと異なり入居時にかかる初期費用がありません。
月額費用は施設や居室タイプによって変わりますが、基本的には10~20万円がボリュームゾーンとなっています。ここでは、必要となる費用の内訳について項目別にみていきましょう。
介護サービス費
介護を受けるための費用です。
他の老人ホーム同様、要介護度が高くなればなるほど金額も上がります。
また、豊富な人員がいるため手厚いサポートが受けられる一方、場合によっては介護サービス加算がかかることもあり、加算項目が非常に多いのが特徴です。
夜勤に対応する職員を増やす場合にかかる「夜勤職員配置加算」や、20分以上の個別リハを1週間に3日以上行う場合にかかる「短期集中リハビリテーション実施加算」、認知症患者に対して20分以上の個別リハを1週間に3日以上行う場合にかかる「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」、医師の診断と本人家族の希望を得てターミナルケアを行う場合にかかる「ターミナルケア加算」などが当てはまります。
これ以外にも、栄養管理にかかる加算や排泄支援の加算など項目が多岐に渡るため、入居の際にはよく確認するようにしておきましょう。
生活費
居室タイプによって異なる、家賃のような項目です。個室であれば高く、大部屋であれば比較的安価に設定されています。施設によっては夫婦で入居できる2人部屋もあるので、希望と料金を照らし合わせるようにしておきましょう。
食費
基本的には、3食で日額1,445円(月額43,350円)です。中にはこの金額を上回る施設もあるので確認しておきましょう。
雑費
通信費やヘアカット代、新聞や雑誌などの日用品については、利用した分だけ実費を負担します。
また、介護老人保健施設には公的老人ホームならではの費用軽減制度も設けられています。
収入や資産が少ない人でも安心して利用できるようになっているので、金額面で心配がある人はこれらの制度を上手く組み合わせることで負担を軽減することができます。
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)
世帯全員が住民税非課税で、且つ預貯金が1人1,000万円以下の人が市区町村の負担限度額認定を受けることによって利用できる減免制度です。所得段階や施設の種類、居室タイプによって具体的な金額は異なりますが、生活費と食費の負担を減らすことができます。
高額介護サービス費
毎月の介護サービス費の自己負担額の合計が、一定の金額以上になった場合、超えた分が介護保険から支給される制度です。世帯や個人の所得に応じて金額の設定が異なるため、市区町村に申請をする際に確認をしておきましょう。
介護老人保健施設は、自宅復帰を目指したい人には最適な場所!
いかがでしたでしょうか。
1人1人に合わせた個別のリハビリテーションプログラムを組んでくれるだけではなく、医療や介護に携わるスタッフも豊富なので安心して入居することができるのが、介護老人保健施設です。特に、リハビリを頑張って自宅復帰を目指したい人には最適な場所です。
介護老人保健施設は要介護1以上の人が入居対象となるため、まずは介護認定を受けてから施設に入居の申し込みをしましょう。一般的には、面談と書類提出の後に入居の判定が行われ、契約と共に入居スタートとなる日付を決定していきます。
全国で数十万人が入居のために待機していると言われている特別養護老人ホームと比較すると、介護老人保健施設は比較的短期で入居することができます。自宅復帰を許可している施設であればある程ベッドの回転率も速く、待機する期間にも差が出てきますので、申し込む介護老人保健施設ごとの特徴を調べておくといいかもしれません。
早めに自宅復帰が叶ったとしても、復帰後の生活についての相談にも乗ってくれるため、老後の心強い味方となりそうですね。
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